先日の4月26, 27, 28日に開催されたMAGICに行ってきた。
久々の訪問であったが、場所はラスベガスのコンベンションセンターではなく東京ビッグサイト。MAGICとは”Mens Apparel Guild in California”の略で展示会自体は1933年に行われたのが始まりとのこと。1989年にネヴァダ州ラスベガスへ場所を移して以来、ラスベガスコンベンションセンターとマンダレイベイコンベンションセンターにて行われている。アパレル業なので2月は秋冬商材、8月には春夏商材向けの展示会となる。
日本からも卸業者のみならず小売業者は勿論たくさんの関係者が訪れる。同時開催されるPROJECT、POOLや他の展示会共々を傘下に収めるUBM Avanstar社によって運営されている。
IFF自体が約10年ぶりになるのだが、率直な印象としてはヒトが少ない。以前に見かけたアジア圏の人々も少ない印象を受けた。実際にはIFFと業務提携とのことで、IFF-MAGIC Japanとのことである。「日本国内代理店募集」と唱っている海外ブランドも見かけるものの、基本的には通常の国内見本市といった印象である。数字を調べてみると、今回の業務提携によって3日間で20.000人弱から25.000の来場者を見込んでいるようだ。もっともここ数年における来場者数は20,000人以下となっている。この傾向は当見本市のみならざず、少数の合同展示会などにおいても同様のようである。
こちらは代々木体育館での開催が最後となったROOMS 34。IFFも多い時期には35,000人の来場者があったそうで、2007年実績では29,964人とのこと。過去10年で30%減となっている。基本的に来場者は製造企画から一般消費者の間の中間業者となる。単純に考えれば、この中間業者が10年で30%減ったとも言える。新たな取引機会を提供する場としての存在が薄れてきているということも言える。
少し前に米国における小売店の閉店についての記事を読んだ。閉店のペースとしては2008年を凌ぐようで、明らかに景況感とは別の理由によるものと思われる。
個人的にも小売店に足を運ぶ必要がなくなっている。例えば近くの店舗に欲しい物が無い場合は通常、他店舗かメーカーからの取り寄せとなる。しかし、手元のiphoneで検索すると購入先がほぼ見つかる。Amazonに限ってはサービス開始からprime会員であるので、最短で同日か翌日には手元に届くのである。ある意味では居住地に縛られずに買い物が可能となっており、地域差がなくなっている。それだけ通信環境や決済方法などのインフラが進歩してきた証であろう。販売側も掲載料を払って、一ヶ月後の紙面に商品を乗せるよりはSNSを活用したほうがオンタイムで情報を流すことができる。供給側と消費者の距離が近くなっており、確かに中間業者が不要となってきている。
2016年12月期のアマゾン日本事業をまとめたサイトによると、前期比の売上高がドルベースで約30%増、円ベースで17.5%増となっている。一方で2月期決算のアパレル企業を見てみると、店頭販売を主とした会社は減収となっている。コスト面を効率化して増益となったとしても販売機会が縮小傾向にあるのは間違いない。そうなると、物理的に各地域でのパイを拡げるより地域差が問題にならないオンライン上での販売か国外からのパイを見込む必要がある。米国において一人当たりの販売面積が急速に減少している。消費者人口の違いがあれど、同じことが日本国内にも起きているのは想像に易い。実店舗が不要となってきている。それであれば、他業種のように展示会自体も一般消費者に解放する方向へと向かうと思われる。まさにマーケットプレイスになっていくかもしれない。